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06 04(水)
おもいでエマノン:梶尾真治・鶴田謙二
[ 二次元娯楽:映漫アニゲー, 二次元的行間之隙間:Book]
徳間書店
いやぁ、まさか、鶴田センセの「エマノン」をマンガで見ることができる日が来るとは、思わなかったなぁ。なにしろ筆が遅いことで知られるのが 鶴田 謙二氏だ。表紙が遅れてノベルズの発行が遅れるとか、そういう話も聞いたことがある。
本の1/10ぐらいは、カラーも織り交ぜた「エマノン」のイラストになっている。鶴田ワールド、エマノンワールドに浸るにはそれでも十分だ。オビに「SF史上屈指の美少女」とあるんだけれど、鶴田氏の書くエマノンは、かわいいが、でもドコにでもいそうな、感じがして、小説にも書かれている通りのはすっぱな感じがして、とてもいい。まあ、小説に描かれる彼女というのが、雰囲気としては60年代ぐらいの学生さんって感じなんだよな(黒髪ロング、両切りタバコにソバカス、ってあたりが、もう……)。
本作は、ちょっと語るとネタバレになってしまうので書かないけど……「おもいでエマノン」原作そのままの、心にぎゅっとしたくなるものが残る、ほろほろとした物語だ。
「おもいで〜」が苦手な人は読まない方がいいし、好きな人は絶対に読んだ方がいいだろう。SF、とたかをくくったり、忌避しない方がいい。そもそも「エマノン」をSFと呼んでいいものかどうか?んー、でも、「ジェニーの肖像」とかもSFジャンルだしな……。
ハードな見方をすれば、SF的な考証や設定には無理があるような気がするけど、しかし、そういう考え方は、この物語が持つ圧倒的な「力」に対する逃げ口上に過ぎない。
そういうことを抜きにして、まずはじっくりと作品と向き合う。SFだろうとファンタジーだろうと、物語というのは、やはり、そうあるべきなのだろうな、と、いろいろとりとめもないことを考えてしまうのも、やっぱり泣きそうだからなのである。
投稿者 ogre : 2008年6月 4日 21:49
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