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2007
10 30(火)

ニワトリはいつもハダシ:火浦功

[ 二次元的行間之隙間:Book]

ニワトリはいつもハダシ【両A面】 (ソノラマノベルス)
火浦 功 放電映像
朝日新聞社 (2007/10/05)
売り上げランキング: 2883

そのタイトルを書店で目にしたときの反応はこうだ。

( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚)

「我が目を疑う」とは、まさにこのことだ。

タイトルを見て「まさか」と思い、著者名を見て驚愕し、裏表紙に今は無き朝日ソノラマの名である「SONORAMA NOVELS」を見たときには涙をこらえることはできなかった、

というのは、嘘だけど。

しかし、古くからの「この方面の」本読みにはわかってもらえるだろう。今このご時世に「ニワトリはいつもハダシ」のタイトルを目にするのは、とにもかくにもそういう気持を湧き起こさせる。

表紙はいしかわじゅんの(いい意味で)朴訥としたそれから、今どきのアクリル風イラストになってしまったけれど、まあ、きっと、いしかわじゅん先生はワイドショーに出るのに忙しくて火浦功の本のイラストなんて描いている場合ではないのだろう。
内容を確かめることもなく(←伏線)手に取り、レジに持っていったのは言うまでもない。


…………………………………………
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………………


そして今、この本を読み終わったときの反応はこうだ。

( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚)

「我が目を疑う」とは、まさにこのことだ!

タイトルを見て「まさか」と思い、著者名を見て驚愕し、裏表紙に今は無き朝日ソノラマの名である「SONORAMA NOVELS」を見たときには涙をこらえることはできなかった、

そして、読み終わってガクゼンとした。

いや、しかし、むしろ、「〆切際のペテン師」の名に恥じぬ、素晴らしい本だったのかもしれない。

だがしかし。だがしかし。

だがしかし。

絶望した!
ありものの小説に短い解説だけをつけてイラストでごまかしあまつさえ版までかえて売り出す作者朝日新聞社の態度に絶望した!!

よく見りゃオビにもそう書いてあるのだけれど、「ニワトリはいつもハダシ」の雑誌連載版と、その後出版された文庫版にさらに加筆・修正した補完版をそのまま両方とも収録しただけ(だから「両A面」)、なのだ。ご存知の方はご存知だろうが、このふたつは基本的に内容は同じで、オチがつかずにグダグダに終わった雑誌連載版に、ちゃんとしたエンディングとエピローグをつけたのが補完版というわけだ。記憶にある文庫版もグダグダエンディングだったような気がするので、このたび10数年ぶりにちゃんとしたエンディングを読めてよかったねー、とかってそういう問題じゃない(笑)(実際には文庫版もちゃんとしたエンディングになっていたようだ。)

このふたつの版は、とどのつまりが版違いにすぎないので、物語のプロットはまったくいっしょ、いや、途中までは一言一句同じなのだ。禁則処理がそれぞれ微妙に違うのは、発収録時の再現か、それとも何かの手違いか。「まったく同じ」ことをごまかすための小技なのではないかと疑いたくもなってしまう。
同じ話を二度続けて読まされる読者のことを少しはおもんばかってほしいものだ。これから読む人には先に言っておくが、とにかく同じ話なので、第一部終了時点で別の本を読んで休憩されることをオススメする。

もっとも、物語そのものにケチをつけるつもりは全くない。15年ぶりぐらいに読んだであろう本作の魅力は決して失われていなかった。むしろ、その堂々たるコメディ、メタさ加減に笑いを禁じ得ない。だからこそ、その延長、究極のメタギャグとして「両A面」が企画・実行されたとしてもまったくはおかしくないのだ。

とはいえ、やはり、大部の新書版にして1000円を超える定価だ。書き下ろしショートの一本でもあれば納得したのかもしれないが、「修正」レベルの加筆だけではなかなか納得できないものもある。仕方がないから文庫版を掘り出して違いを探し、値段分の元をとったような気分に浸ろうかな……と思うのは多分ワナだ(笑)

さて、我々が今後気をつけなないといけないのは、ソノラマの遺産を手に入れた朝日新聞社が、こういうアコギな手を今後も使う可能性がある、ということだ。新作かと思った「キマイラ」が新書になっただけだったり、「エリアル愛蔵版」を出してみたり、といったことをするかもしれない。ターゲットは30代。中高生の時に朝日ソノラマを買った連中で、まだ「コッチ側」に残っている連中だ。つまり僕様みたいな。
注意しよう。

ニワトリはいつもハダシ
火浦 功
角川書店 (1988/02)
売り上げランキング: 698238

投稿者 ogre : 2007年10月30日 23:15



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コメント(3)

まあ、10年前にはヒトケタだった子が、きれいな印刷きれいな表紙のいい本にめぐり合うチャンスを作ってあげたのだと考えてあげましょう。

って、自分の好きな作家さんでこんなことやられたら、多分同じような反応するんだろうなあ。
そして、きちんと買うのだろうなあ。

>そふぃ様

いやもうもちろん、この本を貶めているワケではないのですよ(笑)。むしろ積極的に褒めているわけで。

こういうジョークが通用する作家だ、ということを上手く逆手にとられたなぁ、と、朝日の商売上手に舌を巻く所存。

フフ
このツンデレめ!

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