« 2月27日の日記。春、朧月夜ノ蒙昧。|メイン|2月28日の日記。冬還、彼岸、絶望。 »
02 28(水)
文化庁メディア芸術祭、いくつか作品を紹介する
[ 五次元的思考之蒙昧:Diary]
文化庁メディア芸術プラザサイト
特設ブログ
フェスティバル情報
気になった(面白かった)作品をいくつか取り上げて紹介する。
もっとも、気になったのを全部紹介していると、紹介しているウチに芸術祭が終わってしまうのでホンのちょびっと、さわりだけ、だ。
もしこのエントリーを読んで、興味を持っていただき、実際に会場に足を運んでいただけたら幸甚だ。
ちなみに、木曜・金曜は20時まで開場している。
まずは同時開催の「先端技術ショーケース」から紹介。
●ORIPA/Computational Paper Craft
(ORIPA公式サイト)
写真はちょっと小さくてわかりにくいが、ヤドカリ、トンボ、キリン、ライオンの折り紙と展開図だ。なんとこの4つのオブジェクトは、ペーパークラフトではなく、本当に1枚の紙からできている「折り紙」なのだ(専門用語で「不切正方形一枚折」という)。CAD技術の進化でこういうことができるようになった、ということらしい(専用のソフトがある)。
ヤドカリなんて、左右不対象の折り方でハサミの大きさを変えている。一体どういう脳みそからこういう発想が出てくるのであろうか。
●Pri/Pro
(Pri/Pro公式サイト)
電子ブロックにはまった世代にはたまらない、電子回路をモジュール化したツールキット(と、認識しているがあっているだろうか)。モジュールを接続して複雑な回路を形成でき、PCとも接続可能で電子回路やプログラミングの端緒となるべき存在。
クリエイティブ・コモンズを導入し、アイデアや生成物を皆で共有してコラボレートしよう、というもくろみがあるらしい(うまく回るシステムになると面白そうだ)。
子どもがいたら、ぜひ買いたい。勿論、自分で遊ぶためだ(笑)
●学生CGコンテスト上映会
(公式サイト)
静止画、動画、インタラクティブ、U-18の4部門だが、全部挙げていくときりがないのでじっくり見てしまった動画部門だけ感想を書いておく。
並み居る入選作品は、なんか観念的っぽくてあまり好きではないのが多い(笑)。最優秀作品の「nakedyouth」は、アニメと実写的表現が織り混ざった、その独特の表現は美麗なんだけどちょっと受け付けなかった(テーマがね……)。言いたいことはわかるけど。「PIECE」と「Mix A Miniscape」は面白いかな。「PIECE」や、全般的に言えるのだけれど、平和とか環境破壊とかのテーマを挿入しようとしている作品が結構あって、うん、まあ、立派なんだけど、なんとなく思考停止っぽくて気味が悪かった。
最終ノミネート作品の中には明らかに「狙った」作品が多く、場内から笑いが漏れることも多々あった。一番ウケていたのは「将棋アワー」。これ、どっかで公開してないかなぁ(と、思って、探したら、あった)。
さて、それではメディア芸術祭本編の作品を、少し紹介する。
●OLE Coordination System(アート部門・優秀賞)
(作者の公式サイト)
エッシャーの「奇妙な絵」的な錯視をPC上で再現するソフトウェア。
旧名称を「俺座標系」という。なるほど、キャラクタの主観的視点からいうとそういう表現だ。オブジェクトの振る舞いを決定するロジック的にもそういうイメージ。
なんとフリーでココからゲットできる。とても面白い。ぜひ試してみてほしい。
●素数ホッケー(アート部門・推薦作品)
(開発元のサイト)
エアホッケー的な台がディスプレイになっていて、数字が落ちてくる。素数をスルーすると得点、素数以外は減点になる。非素数はパドル(まさにエアホッケーだ)で打ち返すと、約数に分解される。
仕組みとしては非常に簡単だ。「その数が素数かどうか」を判断するロジックは、よくプログラミングの入門書に(多分、再帰関数のコラムで)出てくるネタだが、「なんに使うんだよ、そんなもん」と思うのが普通だ。これはいい実用例だよ(笑)。
その他にも、UIやベクトル分解・合成なんかが一度に勉強できるいい例題かも。
ゲームとしても結構面白い。「171」が瞬時に素数か否かを判断するのは、慣れないと、ちょっと無理だ。ブブーッとブザーが鳴って、「ええっ!?」と思った次の瞬間に「あ!そうか!」と思うことが多い。7と9の倍数を計算する方法ぐらいは、覚えておかないといけない。まあ、ゲーム性、ゲームバランス的には、いろいろ工夫が必要だと思うが。
何かプログラミングの勉強をするときに、使ってみようかな……
●Cell_雀(エンターテイメント部門・推薦作品)
(公式サイト)
同じようなコンセプトのゲーム(EXCELでソリティア、とか)は前からあるけど、麻雀まで高度化すると芸術に昇華するのか(笑)。マシンパワーの増加は、こういうところに生かされている、という好例か(違う)。
ちょっと前からあるけど、完成度がかなり高くなった、ということか。
これもフリーウェアで入手できる。
やれやれ、このイキオイで書いているといつになっても終わらなそうなのでいったん切り上げる。
マンガ部門、アニメ部門については、いまさら言わずもがなの作品が並んでいるので、ぜひサイトで確認してみてほしい。会場は「マンガ図書館」とばかりに過去の受賞作品、今回のノミネート作品が置かれて読み放題になっている。アニメ部門は、まあ、さすがに全編上映という訳にもいかないが……。
投稿者 ogre : 2007年2月28日 00:59