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2006
09 07(木)

FINE DAYS:本多孝好

[ 二次元的行間之隙間:Book]

FINE DAYS
FINE DAYS
posted with amazlet on 06.09.07
本多 孝好
祥伝社 (2006/07)

SFチックな4編を集めた短編集。SFといっても宇宙がどうたらではなくて、不思議な体験や超常能力(らしきもの)が出てくる、というぐらいの意味だ。「本にとり憑く日々」さんは「ベースは恋愛小説」と看過してらっしゃる。うーん、確かにそうかも。Amazonで見たら、単行本の方の副題はズバリ「恋愛小説」だった(笑)。でもなんというか、全然ベタつき感がない。「ぶっきLibrary...」さんはズバリ「淡泊」と表現。なるほどね。乾燥しているというのでもないな、なんというか、粘性がないというか。人間味がない、というわけでは決してないので(二重否定)、その辺はバランス感覚かも。
全体通してせつな系な話で構成されている。この作者の前作はなんだっけ?確か処女作の「MISSING」は読んだんだけどな、淡い読後感は覚えているのだけれどストーリーまでは思い出せないけど、方向性としてはあまりぶれていない気がする。
若者の日常風景にちょっとだけ割り込む不思議、ターゲットというか世界観というか、そのへんはジュブナイルやライトノベルの範囲に近いかも。ああ、もちろん、エロスは控えめに、ドタバタもギャグもなしだけど。この短編集のキモは、不思議な空気の中に流れる、それでも淡々とした日常を読むことにある。自分は4編のなかでは表題作でもある「FINE DAYS」が一番気に入ったかな…。

620 Drunkard Laboratory」さんが書いていたのが「全ての話に救いがある」という点。必ずしもオールハッピーなものばかりではないと思うのだけれど、実際、確かに誰かが救われている。自分みたいな軟弱な読み手にダークなオチは辛いのでこれはありがたい(笑)。「眠りのための暖かな場所」は、ちょっとコワいオチだったけど。

投稿者 ogre : 2006年9月 7日 01:22



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それぞれが独立した短編集。ベースはどれも恋愛小説なんだろうと思うが表題作は少しサスペンス調だった。この作者の作品にはラストを切るのが多いようだが、その終わり方が... 続きを読む

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