« セブ島ダイビング旅行記:8月6日(その1)、出発。|メイン|撲殺天使ドクロちゃん:おかゆまさき »

2006
08 07(月)

ユダの福音書を追え:ハーバード・グロスニー/日経ナショナルジオグラフィック

[ 二次元的行間之隙間:Book]

ユダの福音書を追え
ユダの福音書を追え
posted with amazlet on 06.07.26
ハーバート・クロスニー
日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター (2006/04/29)

エジプトで発見された、失われた福音書である「ユダの福音書」をナショナル・ジオグラフィックが復元するにいたるまでの過程を描いたノンフィクション。自分もだまされた(?)のだけれど、あくまで発見された「ユダの福音書」がたどった(それこそ小説より奇なる)道程を綿密に描いているものであるから、福音書の内容そのものへの言及であるとか、その内容の分析であるとかについての記述は最小限、というかほとんどない。それを読みたければヨソへどうぞ、ということなのだろう。ナショナル・ジオグラフィックの興味は古文書を回収し復元するところにあって、その内容については専門外、ということだろうか。

とはいえ、この稀なる古文書がたどった道のりは、数奇と言っても過言ではないもので、様々な人々の利害が絡みあって織り成されるドラマはエスピオナージもののドラマを見ているようだ。ただし、あくまでもノンフィクションであるため、ルポルタージュ的な記述に終始し、わくわくどきどきさせる書き方はしていない。いかに劇的なストーリーであっても、その語り方によって受ける印象はまるで違う、ということの見本のようだ。この本はルポルタージュであって、決して「物語」を語っているわけではない(その割に日本語タイトルがセンセーショナルなのは・・・まあ商業主義的なところがあるのだろう)。

というわけで、ハラハラドキドキの物語を創造していると退屈で眠くなってしまうかもしれない。あくまで資料的に見る、ぐらいの気構えでいたほうが楽しめると思う。

投稿者 ogre : 2006年8月 7日 00:00



トラックバック(1)

トラックバックURL: http://www.the5thdimension.jp/cgi-bin/mt/mt-my-mod_12_track_back_ogre.cgi/608

雨の日は、読書が進む。 『ユダの福音書を追え』(日経ナショナルジオグラフィック社発行)を読み終える。先月、出版されたばかりだけれど、やっと、この本に取り掛かれ... 続きを読む

コメント(2)

TBをいただいていることに今日、気づきました。こちらもTBさせていただきますね。
下手な映画を見るよりも、こういったノンフィクションの方がスリリングだと感じるわたくしですが、キリスト教や聖書、考古学などに関心がない場合は、いくら世紀の発見の公開でも、つまらないかもしれませんね。今回の出版は、格別商主義的とは思いませんが、記事に沿っての多彩な写真が掲載されていたなら、もっと資料的な意味でも一般書ながら楽しめたのではないかと拙速な出版を、ちょっと残念に思いました。

TB有難うございました。

コメント&TBありがとうございます。そちら様のコメント欄がクローズしてたんで書けなかったのですが、後付けのTBだったんです。すいません。
確かに写真とかがほとんどなくて(中央部のカラーページぐらい)、ちょっとエンターテイメントとしては辛いですね。科学雑誌らしいといえばらしいですが。

コメントする