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2007
05 19(土)

非婚のすすめ:森永卓郎

[ 二次元的行間之隙間:Book]

「非婚」のすすめ
「非婚」のすすめ
posted with amazlet on 07.05.19
森永 卓郎
講談社 (1997/01)
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三十路も尾根が見えてくると、いろいろある。
そこで理論武装だ。

この本における森永氏の主張は、以前紹介した岡田氏の「フロン」とほぼ同じ路線である(岡田氏が、この本を下敷きにしている訳だが)。経済学者らしく、年金や賃金といった問題にフォーカスしているものの、この本で一貫して述べられているのは核家族制度の崩壊、「オンリーユーフォーエバー」の崩壊、来るべき新しい社会の姿はどのようなものであるか、というビジョンだ。

「見合い結婚」や「オンリユーフォーエバー」といった制度・思想は、男女という資源の集中を避けるための一種の社会主義的規範、資源の公平分配を目的とした制度であり思想であったといえよう。本田透氏は「恋愛資本主義」という観点で「恋愛は自由主義経済である」という立場を取っているが、森永氏は恋愛のみならず男女関係そのものが自由主義・市場経済に向かっていると述べている。個人の価値観が現行の制度や底流思想を凌駕しつつあるのだ。
森永氏自らが語っているが、独占禁止法が存在しない恋愛市場(恋愛に限らないが、一応そういう呼び方をしておこう)では、当然、資源が一部の人間に独占されることになる。また、自分が資本家となるか、労働者となるかは、独占する側になるかされる側になるか(あるいは見向きもされないか)ということに直結する。まあ、いずれにせよ、暴力にもカネにも遺伝形質(カオやスタイル)にも優れた点がない遺伝子は、生き残ることができない、というわけだ。

かつて、「資本家になることができなければ一生勝ち上がることはできないんだ(そしてそれはほぼ不可能だ)」と悟った者たちは、手に武器を取って共産主義革命を目指した。しかし、恋愛資本主義、恐るべき市場経済が個人の幸せの追求の結果だとするならば、我々はただ座し、非暴力と寛容の精神をもって妄想に励めばいいのだろう。

まあ、しかし、なんだな、なんだかんだ言っても森永氏って既婚者で、勝ち組であるわけだから、この本の説得力は、その時点で0に近しいのだけれども、ね(笑)

投稿者 ogre : 2007年5月19日 01:21



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コメント(2)

「年収○百万円の??」とかベストセラーも書いてるけどこの人自身は資産家だしね(笑)。

そうなのよ。だからイマイチ説得力がないのよ。
こういう話はキモメン・キモオタが暑く語ってこそ味が出る。

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