« 10月8日と9日の日記。記憶の中にだけ残っているようなものが確かに存在する。|メイン|10月10とか11日の日記。イワンではじまりあさってで終わる。 »
10 11(水)
「エルリック・サーガ」と「ルーンの杖秘録」を読む
[ 二次元的行間之隙間:Book]
早川書房
「ああ、まさか、こんなことは!」と、ムーングラムみたいに驚いた訳じゃないけれど、久しぶりに読んだエルリック・サーガは今でも色あせることなく、ライト・ファンタジーで緩んだ脳内の幻想装置を締めなおしてくれるかのようだ。話の内容も適度に忘れているのでたいそう楽しめた。
多くのファンは学生の、若いうちに読んでいるのではないだろうか。中学とか高校とか。自分も初めて読んだのは、ええと、十…orz。
そんなわけで、マイクル・ムアコック原作のファンタジーの金字塔が訳も編集も新たに帰ってきた。日本語文庫版オリジナル版の5冊に加え、後から刊行された「薔薇の復讐」「真珠の砦」を追加し、時系列に並び変えて再編集している。また、訳語の見直しも行われている。アリオッチがアリオッホに、ディヴム・トヴァーがダイヴィム・トヴァー、てな感じ。慣れるまでは違和感がね…。とくにアリオッ「ホ」は力が抜ける(笑)。「族長の初夏」さんの、こんなコメントに笑った。
ぬうう。いつのまにかアリオッチが「アリオッホ」に!
アリオッチ! アリオッチ! 御身の御名が少しまぬけな響きになってしまいましたぞ。
まぬけって(笑)。確かにまぬけだが(をぃ
後から書かれた外伝的な中編が間にはさまっているのは変な感じだ。話を盛り上げるために仕様や設定が(「書かれた 」年代が)後になるほどバンバン追加されているので、きっと整合性をとるのに大変だろう…。それに、エルリックって意外にのんきに冒険してるよなぁ…。盛りだくさんというか。後付けでいろいろつっこんでるからだけど(笑)。
それにまあ、この学習能力のなさっつうか終始変わらない詰めの甘さっていうか、なんでこうダメな奴なんだエルリック(笑)。そのダメッぷりが楽しいぞ、エルリック。基本的に不幸な星の下に生まれているんだから仕方がないか、エルリック…。いろいろ考えているのに、楽しいくらいに可哀相だぞ(笑)
天野喜孝氏のカバーイラスト、挿絵がなくなっちゃったのは残念だ。いろいろ事情があるんだろうけど…。
と、まあ、楽しくエルリックを読んでいたら、今度は創元推理文庫から「ルーンの杖秘録」ホークムーン・シリーズが再販された。いや、まあ、どう考えてもエルリックの売れ行きにびっくりして急遽再販してるって感じ。エルリック・サーガが新訳の上再編集、解説も新しくなっているのに対し、こちらは昔のまま、解説も1976年とかの解説が載っている。悪くはないけどちょっと貧乏くさい(笑)。せめて解説を付け直すとか、イラストを替えるとか、世界地図を付けてみるとか…なんとかすればよかったのに。表紙は変わっているんだけど、これも天野氏のイラストがなくなっちゃったってことだからなぁ。1巻目と2巻目のホークムーンは全然別人だし(笑)。2巻目の「赤い護符」巻末の広告なんかもすごくて、「レンズマン・シリーズ」「火星シリーズ」「キャプテン・フューチャー全集」「ファファード&グレイマウザー」ときた。創元推理文庫はこの際在庫を全部売ってしまうつもりなのか(笑)。
こっちの主人公であるホークムーンは、まあ、エルリックよりはマシな運命だね。運命の力やアイテムに翻弄されるのは変わりないけど…。ホークムーンよりブラス伯爵の変人っぷりが際だってしまうのだよね、この作品は。ホークムーンに主人公っぽい押し出しがないってのもあるんだけど…つかこの人は本当にエターナル・チャンピオンなのか?こんなに流されまくりだったら他の人でもいいんじゃないか、って感じだけど(笑)。
いずれにせよ、昔ドコまで読んだのかよく覚えていないのでもう一度読んでみることにしている。一巻までしか読んでなかったかと思うんだけど、二巻を読んでるとちょっと覚えがあるような気もするし…。
そういえばコルムのシリーズは2000年ぐらいに一度再販されている。こちらも以前は一巻しか読んでなかったのでこの際もう一度読み直してみたいと思う。エルリック、ホークムーン、コルム……エレコーゼはどうしたんだ??(昔からエレコーゼは報われないよねぇ…)
投稿者 ogre : 2006年10月11日 00:17
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.the5thdimension.jp/cgi-bin/mt/mt-my-mod_12_track_back_ogre.cgi/686
コメントする