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09 24(日)
春期限定いちごタルト事件・夏期限定トロピカルパフェ事件:米澤 穂信
[ 二次元的行間之隙間:Book]
東京創元社 (2004/12/18)
売り上げランキング: 9,899
二部連作をまとめてご紹介する。
この作者独特の、なんといっていいのか「日常ミステリ」とでも呼んだらいいのだろうか、主人公二人(曰く、相互依存ではないが相互互恵関係にはある)の日常と、その中に現れるちょっとした推理や駆け引きを楽しんでいく。しかし最後にはそれが以外に大きな事件につながり…という流れ。二作目の方が物語全体で「陰謀」が張ってあってまとまりがある感じ。
(以下に若干のネタバレを含む。)
この二作の主人公たちには物語開始前から「裏」があることになっている。明確に語られることはないのだけれど、Aは中学校時代にその推理力を発揮し、いろいろな事に口を口を挟んでは煙たがれた、らしい。ヒロイン?のBといえば、こちらは徹底的な復讐行為に地道をあげる「狼」だったのらしい。二人はお互いに協定を結び、互いを利用しながら「小市民」たることを目指している。とはいえ、基本的に二人の主人公は「モンスター」として描かれている。意識して小市民を振る舞おうとすればするほどその片鱗が顔をのぞかせる。それでも彼らは小市民の星を目指す…。言うなればこの物語は「妖怪人間ベム」なのだ。ベムが「早く人間になりたい」と叫んだように彼らは小市民を目指す。しかし彼らは徹頭徹尾モンスターなのだ。変えようとしても変えられないものがある。最終的に、彼らはそのことに気づく。ベムたちは炎に包まれて終わったが、この二人の結末はぜひ本書を読んで確かめて欲しい。
せつな系の後味を残して本書は終わり、少なくとも作者は物語として決着をつけた形だ。続編は難しいかもしれないが、前日譚や外伝的なストーリーを読んでみたいと思う。
投稿者 ogre : 2006年9月24日 14:53
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