« 5月7日の日記。雨の渋谷で映画。|メイン|唐そば(渋谷公園通り店):つけ麺(並) »

2006
05 08(月)

Vフォー・ヴェンデッタ

[ 銀幕是即異次元之扉:Movie&TV]

公式サイト

オタク界のVこと「しろはた」の本田透先生ご推薦(4/10日記参照)の喪男映画、それがVフォー・ヴェンデッタです。

ナタリー・ポートマン(スターウォーズエピソード1〜3)とヒューゴ・ウィービング(マトリックス3部作、ロード・オブ・ザ・リング3部作)が主演だというのに、ナタリー・ポートマンはスキンヘッドに、ヒューゴ・ウィービングに至っては仮面をかぶったまま、一度も(ただの一度も!)顔を出さないというすさまじさです。
(以下ネタバレ含む)

舞台は第三次世界大戦後の近未来。アメリカは内乱でズタボロ、舞台となるイギリスはヒトラーかビッグ・ブラザーかという独裁者によって支配されているという状態。そこへ現れた謎のマスクマン、それがV。
本名、経歴、そして素顔、全てが不明。突如としてテレビ局をジャックし、体制に対する宣戦布告を行うと要人の殺害を始めます。それを追う公安の警視(トレンチコートはやっぱり刑事コロンボのオマージュでしょうか?)も、Vの正体に迫るうちに世界の真実に気付いていく…。という、一見体制批判(原作はサッチャー時代を下敷きにしているそうですが)に見える物語なのですが、よーく考えるとVのやっていることは政府に対するテロではなくて(テロはテロなんだけど)単に私怨を晴らすリンチだし、イヴィー(ポートマン)に対する行為は変態犯罪者の手口です。ダークヒーローという言葉がありますが、コイツはやっぱりヒーローじゃネェだろ、という気もしてきます(だって誘拐監禁拷問だよ?)。あえていうならアンチヒーロー?

冒頭で紹介した本田先生は、「Vフォー・ヴェンデッタは喪男Vの復讐物語である」と看破しておられます。つまり、Vが自分をキモメンに貶めた連中に復讐をして行く、ただそれだけの物語であると。確かにその通りだと思います。それをなんとか社会正義の中にとけ込まそうとしているストーリーなんですが、Vがあまりにもキモすぎて失敗している感じ(笑)。Vの行動様式、個人の恨みが源泉なのになぜ議事堂爆破にこだわるのか?自分とガイ・フォークスを重ね合わせる事の意味は?それはそういう思想なのか、大衆に迎合しようとする作戦なのか?そもそも結局Vは誰なのか???そのあたりがはっきりと描かれていないのでよけい曖昧になってしまうのでしょう。そのあたりの判断を観客に委ねている映画なのかもしれません。

Vが(仮面のまま)朝食を作ったり、甲冑相手に(1人で)戦っていたり、イヴィーに惚れているのだけれどダンスに誘うのもなかなか言い出せない(喪男だから)というあたりが笑うところ。全編暗いのに、よくバランスよくコミカルなシーン(あるいはキャラクター表現)を織り込んだなぁ、と思います。

んまあ、予備知識なしにデートで見るにはあまり向いていない作品かも。ヒーローとヒロインの関係が屈折していますからね…。

ナタリー・ポートマンは「代表作になる」と言っているようですが、どうかなぁ(笑)

投稿者 ogre : 2006年5月 8日 03:12



トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.the5thdimension.jp/cgi-bin/mt/mt-my-mod_12_track_back_ogre.cgi/488

コメントする