04 15(土)
ダ・ヴィンチ・コード:ダン・ブラウン
[ 二次元的行間之隙間:Book]
Amazy |
なんと日本だけで400万部突破。さすが角川書店の広告力です(え
ミステリーにしてミステリーにあらず、サスペンスにしてサスペンスにあらず、トンデモにしてトンデモにあらず、というのが本書を読み切ったところの感想。ある意味、初心者に大変読みやすくできているように思った。
(以下一部ネタバレ)
サスペンスの苦手な方にも安心。息の詰まるような展開は、ほどよく登場するけど長続きしない。都合のいいタイミングで救いの手が差し伸べられたり、大富豪の家に転がり込んだりと「息をつく」タイミングがすっと用意されている。翻訳の問題かもしれないけれど、必要以上に不安を煽られないというか、まあ安心したところで「でもね…」というのはちゃんと用意されているんだけど、あまりビックリさせられるような要素はない。
謎解き要素にしても、タイトルから想像されるような、ルネッサンスの時代から隠されていた暗号を鮮やかに解き明かす、とかではない。謎の連鎖へレールを引いたのはあくまで現代人という設定で、そこかしこに古めかしいギミックを盛り込みながらもあくまで現代的。謎解きは分かりやすく、多すぎるくらいに言葉を使って象徴と寓意に彩られた暗号を解き明かしていく。
秘密結社だのレオナルド・ダ・ヴィンチの暗号だとのといった一歩間違えたらただのオカルト陰謀史観に転がり落ちそうなところを、塀の上で美味くバランスをとっている感じ。でも逆に、モナ・リザを表紙に使ってみたり、「ダ・ヴィンチ・コード」なんて思わせぶりなタイトルを付けているのは看板に偽りありと言っても言いすぎではないと思う。(モナ・リザなんて、ウンチクをたれるのに使っただけで、本筋の謎には全然関係ないしね。)
でまあ結局、読みやすいのはいいんだけど何とも中途半端な感じになってしまっている気がする。なんか取って付けたようなラブロマンス風味も気にくわないし。不満か?といえばそうでもないんだけど(文庫三分冊の力作には違いない)、ミステリーとしてはトリックや暗号に深みがないし、サスペンスにしては軽すぎる。聖杯伝説もテンプル騎士団も教会の陰謀史観も、今となっては目新しいものではない。
いわばそれらの初心者向け、と言ってもいいかもしれない。解説を書いていらっしゃる荒俣センセイの「レックス・ムンディ」にイキナリ取りかかるのは危険かもしれないが、この本ならばその点は安心できる。なにしろ400万部も売れているのですからね。(そのうちどれだけが読破されたかは別として…)
投稿者 ogre : 2006年4月15日 21:39
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