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05 12(木)
定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?
[ 二次元的行間之隙間:Book]
定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?
狙った訳ではないのでしょうが、今、この時期に文庫化されることには不思議なものを感じます
日本の鉄道は世界に類を見ないほど正確であることはよく知られていますが、本書を読むとその「正確さ」が我々の想像以上のものだと思い知らされます。明治の鉄道黎明期から大正、昭和と作り上げられてきた「定刻ダイヤ」への道。戦争を乗り越え、今や2分間隔は当たり前の「超過密ダイヤ」が日常のものとなっています。
しかしその裏で、一体どれほどの人がどのような作業を行っているのか。しかもそれを「特別なこと」ではなく「あたりまえのこと」として遂行できることのすごさ。5分から10分の遅れがニュースの題材になり、台風が来ても翌日の新幹線が「平常通りの運行」をするということの一種の異常性。(それだけ普段が定刻運行だ、ということ。)数百万人が集中するターミナル駅が正常に動作している不思議。
それら我々が「あたりまえ」に考えてしまっていることを、もう一度考えさせてくれる、そんな本です。
ちょうどあんな事故があったばかりで、確かにJR西日本の企業体質や安全性二の次の収益重視の態度は批判されてしかるべきでしょう。しかし数分間隔の「超過密ダイヤ」や「遅れが出たら取り戻すべくテクニックを駆使する」ことを非難することが出来るでしょうか?
「超過密ダイヤ」がなければ、各大都市の経済圏は大幅に縮小し、人はよりぎゅうぎゅう詰めの列車にのり、会議の予定には大幅な余裕を見て出発することになるでしょう。
正直なところ、大都市の片隅に住むものとして、現在より電車が間引いて運転されるとか、5分ぐらいの遅れが当たり前のものになるとか、そういうことはあって欲しくないし想像もしたくない。そして定刻運行をするために尽力する鉄道会社の方々に敬意を表し、感謝を捧げ、より一層の安全運転と定刻運転を祈念するものであります。(乾杯の音頭みたいだな。)
・・・思うに「2分間隔なんて異常ですよ」とか「遅れたら遅れたでいいじゃないか」なんて言ってるワイドショーのコメンテーターは、1ヶ月ぐらい通勤2時間ぐらいのサラリーマン生活を送ってみるといいのですよ。
投稿者 ogre : 2005年5月12日 01:33
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