Talking in the 5th-Dimension.:おたく展が持つ意味（その１）

2005
03 07（月）

おたく展が持つ意味（その１）

[ 五次元的思考之蒙昧:Diary]

東京都写真美術館で先週末まで「文化庁メディア芸術祭」というのをやっていて、まあ、アニメやらやらインタラクティブ・アートを集めてしまえ！という、考えようによってはものすごく贅沢なイベント（しかも入場無料！）をやっていて、いろいろ観たかったものもあったので行ってきました。
その地下で付属イベントとしてやっていたのが「おたく：人格＝空間＝都市」という企画展で、話題になったヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の帰国展でした。（この企画展だけは3/13までやっています。）
まあ、いろいろと話題になっていましたのでメディア芸術祭のついでに立ち寄ってみた訳です。
・・・ついでだってば。

内容は既にメディアなどでサンザン取り上げられていますので細かく説明しませんが、要するに「“おたく”という概念を説明する」ためのものです。・・・その切り口がコミケとレンタルショーケースというのは、いかにもという感じがしましたが。

まあ、さりとて期待があった訳ではありませんが、実際の所、別に何かの発見がある訳ではないのです。コミケ会場の配置通りにコミケカタログのマス絵を並べて見せたのは面白い発想かも知れませんが、それで何かが知れる訳ではありません。会場を上から撮った写真を見て「うわー、これが“ゴミが人のようだ”っていうのねー」と彼氏に話している女性がいましたが、「ふはははは！見ろ！人がゴミのようだ！」だろうが、と突っ込んであげられない彼氏はよくありません。（なんの話か。）
「おたくの個室」は見るのに３０分近く並ぶハメになり、後ろに並んでいたカップルの女性が「ねえ、これってこんな並んでまで見るものなの？？」と言っていましたが、多分後でケンカになったと思います。

かいつまんで全体的な感想を申しますに、正直、並んで見るほどのものかな、と。かえって並んでいる途中に展示してあった「グローバルメディア2005」の残り展示の方が面白かったな、と。

理由はいくつかありますので、思いつくままに列挙してみましょう。
「わざわざ行く必要もない理由」と「行ったはいいがイマイチ楽しめなかった理由」があります。

天井からアニメ・ゲームのポスターがぶら下がっており（床にも敷いてあって）、パッと見た目に度肝を抜かれるが、考えてみればソフマップに行けばいつでも同じ光景がいつでも見れる。
レンタルショーケースはなかなか面白いがホンモノが見たければ秋葉原に行けばいいだけの話。（フィギュアがほぼ全部海洋堂（今回の協賛企業）だ、という鋭い指摘があるらしいです。自分にはよく分かりませんが・・・）
「おたくの部屋」は、作りが想像以上にチャチでそういう方向性では見るところはない。密集した本棚模型に並んだ背表紙の群れを見てると…正直…笑えんな。（ベルセルクのセットと目が合ってしまって正直「やべぇ、僕様の本棚だ」と思った、）
それにこの程度なら友人の部屋なりなんなりでいくらでもありそうなものだし。
そもそも今自分の部屋がのっぴきならない状態なのだし。

のっぴきならない。

…いやそんなことはともかく、他にもいろいろあって。

電気街→オタク街という秋葉原の変遷を「ヨドバシカメラの外装→アニメ／ゲームキャラの外装」で表現しているんですが、ヨドバシカメラに代表される家電量販店は秋葉原の家電店と相容れないものである、という前提を理解していないのかあえてそこを曲げてメタファに使っているのか謎。
テメェんところの企画展のカタログが「出版社品切れにつき再入荷予定無し」と言い切るミュージアムショップのあり方はどうかと。
大阪万博がでっかく出てましたけど生きてきた時代にないせいかピンと来なくて。

とかとか。

まあ、語り始めたらきりがないような気がするのですが「そんなお前がおたくだ」という呼ばわりはホンモノの方々に悪いので遠慮しておきます。

さて。

そもそもが「国際建築展」にコレを出しちまったということにすら議論があるのですが、じゃあそれを日本に持ってきてNHKまでが議論していることの意味は何か、と思ってしまった訳です。だって、ホンモノならその辺にあるじゃんか。今さら珍しいものでもなし、なにを大騒ぎしているのだ？と。そこにあるもののオルタナティヴをわざわざ用意して、一体何をしようというのか？と。
「凱旋帰国展」という報告会の意味合いならともかく、どうもメディアの取り上げ方はそうでもない。ならば、そこにある意味をちょっと考えてみました。

つづきます。（えー）

投稿者 ogre : 2005年3月 7日 23:08