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08 21(木)
フリーランチの時代:小川一水
[ 二次元的行間之隙間:Book]
早川書房
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おちゃらけ気味とはいえ、内容的には比較的ハードなSFに、どうしてこうアニメ絵の表紙を付けたがるかな、ハヤカワも。だったらもう、みんな萌絵にしてしまえばいいんだよ。特にFTとかさ。などと思ったら、再版されたリフトウォー・サーガが少女漫画チックなイラストになってて噴いた。そのうち「夏への扉」に「チーズ・スイート・ホーム」みたいな猫が出てくるぜ……。
さて、そんな話は全然関係なくもないのだけれど、ハードなSF短編集だ。
半分ぐらいはおちゃらけ気味の内容になっているが、しかし、語られる内容はどれもかなりハードで、時には深く考え込まされるものもある。
一冊を通して描かれているのは、一言では言いにくいが、ヒトがヒトを超えたときにどうなるか(あるいはどのようにして超えるか)、という一種の思考実験であろう。個人や種の単位でヒトがヒトを超える、しかし、個人、あるいは「人間」としてアイデンティティは保っている……。ヒトでなくなったときに人でもなくなるのか、なくならないのか。どのようにかわり、変わらないのか。それは遠い未来を謡ったSFの形を借りながら、僕たち個人の問題でもある。
人としての本質がドコにあるかはわからないが、人は常に変わっていくものだ。何が変わって、何がかわらないのか。変わったことによって本質は変わるのか、かわりえないのか。そういったことを見つめ直す、ひとつのきっかけになった。
投稿者 ogre : 2008年8月21日 23:48
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