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01 30(火)
秘宝迷宮 魔界都市ガイド鬼録 :菊池秀行
[ 二次元的行間之隙間:Book]
我らが魔界都市シリーズの最新巻だ。今回は外道棒八が主人公の魔界都市ガイドシリーズ。いつものごとくの菊池節だが、どうもこのところ書き方が雑というか、投げやりというか、そんな気がする。魔界都市ブルースのシリーズはそんなことないと思うのだが、中編だからか?後半がグダグダになってくるのもいつものことだ(笑)
物語の成り立ちとストーリーのヒントは後書きにも書いてあるので立ち読みされるがよかろう……。簡単に言うと、今回は別シリーズのスピンアウトキャラが登場し、主役を食っている。主人公のはずの外道はといえば、良い人すぎて迫力がないもんだからむちゃくちゃされてる。まあ、ちょっと弱ければ改造しちゃう魔界都市なので、それくらいに驚いていても仕方がない。
それにしても、最近の若い人はトレジャーハンター(エイリアン)シリーズとか知らないんじゃないだろうか。それ以前にソノラマ文庫ってまだ存続しているのだろうか(あるらしい。それにしても一ヶ月に1冊ってのは……)。
10ページに一度(連載時は毎回、というペースか?)訪れる塗れ場(半分はレイプでもう半分は変態行為)も健在だ。いまのご時世、特段エロいわけでもないが……。むしろ菊池氏は、このマンネリすらも意図してやっているような気がしてならない。もはや伝統芸能と化している、と言っていいだろう。
物語は、なんだかもう全編通じてグダグダっていうか(笑)。複線とかプロットとか、なにも考えてないんでしょ?って感じの行き当たりばったりっぷりだ。「これが魔界都市」というヒトコトで許される。だからこそ許される。それにしても、では、あるが。
一生懸命風を吹かそうとしているが、吹いた風はどこかマンネリ、というのもそろそろ飽きてきた気がする。まあ、魔界都市も長いから、そろそろ新しいアイデアも思いつかないかもしれないが。
そんな感じであるので、もちろん、魔界都市初心者、菊池秀行初心者にいきなり勧めるような作品ではない。初心者は「夜叉姫伝」でも読んでおけ、ってところだろうか。
それはそうと、様々な変遷を見せてきた魔界都市も、最近は開き直ったのか配置や描写が落ち着いてきている。一番変動があったのはやはり都庁移転の頃か?一時期は南口にタイムズスクウェアがでてきた勇み足があったりもした。もちろんあそこは渋谷区なので魔界都市ではない。
最近の(?)魔界都市は、河田町にフジテレビの廃墟があったりして、「昔ながらの」情景を取り戻してきているように思う。
昔からの読者としては、そろそろブルースが聴きたくなってきているのだが。
投稿者 ogre : 2007年1月30日 21:42
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