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2006
12 08(金)

iPod shuffle(2nd generation)レビュー

[ 銀幕是即異次元之扉:Movie&TV]

第二世代シャッフルのレビューだ。歳末商戦に向けて日本でもCMが頻繁に流れるようになってきたのでこの機会に本格的なレビューを書いておこうと思う。
まず最初に結論めいたものをほのめかしておくが、先日から左のAmazonアフィリエイトに置いておいたシャッフルへのリンクを削除した。つまりは、そいうことだ。

そのデザインと機能性

第二世代のiPodシャッフルは、「世界最小」の広告文句に恥じぬ小ささに1メガバイトの音楽を詰め込むことができる製品だ。一万円を切る値段と、クリップで留めるシルバーのボディは十分に物欲をそそられる。
これまでもこの大きさのMP3プレイヤーがなかったわけではないし、値段的にも手頃な、おもちゃ的なプレイヤーも多々あった。しかし、これだけの大きさに100曲を詰め込み、ファッショナブルなデザインに仕上げたものは他にあるまい。液晶を廃し、「音楽を(半ば強制的に)シャッフルする」という第一世代譲りのプレイスタイルによくマッチしているデザインだと思う。

一部で問題にされるヘッドフォンジャックの向きだが、たとえばクリップ(の持つところ)を左に向けてスーツの襟に付けるとこんな感じになる。
iPod Shuffle
ヘッドフォンのコードは下に、操作面も上下逆になるのだが、個人的には操作ミスはしなかった。上からのぞき込むようなイメージで操作していると思って欲しい。CMでも同じ方向で着けているシーンがある。

音楽プレーヤーとしての本分は何か?

問題は、そこまで「表面的に」すばらしそうなこの機械が、その本質において非力だという一点に尽きる。シャッフルには付属のイヤフォンがあるが、最近のnanoなどで採用されている小さめのものではなく、以前の大きめなサイズのものだ(アメリカンサイズ、と言っても良い)。このサイズは、正直日本人の耳には大きすぎる。自分も耳の穴が小さい方らしいので苦労する点だ。「音楽を聴く」デバイスとしては、このようなローカライズの配慮は省略していい点ではない。

まあ、ヘッドフォンはいいだろう。どうせお気に入りのサードパーティ製があるから、それを使えば……ところがそうしたとたんに、驚くべき問題が知覚されるのだ。
それは明らかにそれと分かる「ノイズ」だ。シャーッというホワイトノイズ、ときおり聞こえるプッ、プッ、プッというシグナル。海外では「ヒスノイズ」という表現をしていることがあった。
このノイズは、電源を入れた直後にはあまり感じないのだが(よく聞くとこの時点でもノイズがしている)、再生を開始すると急にひどくなる。一時停止してみればノイズの存在はハッキリするだろう。先に述べたように(音質のよくない)付属イヤフォンならまだしも、密閉型やカナル型のものを使っていると絶望的だ。ポップスを聴いていてもボリュームを上げなければ気になってしまうし(ノイズはボリュームによるレベル変化はない)、ピアノ曲の静かな部分などは音が完全にノイズの向こう側になってしまう。MP3プレイヤーが出たてだった頃の幼稚なデバイスならともかく、今どきのポータブルプレイヤーとしては完全に失格だ。
ノイズのレベルは本当に耐え難い。例え路上であっても、車の往来が止んだ時には明らかに認識できる。まして静かな部屋の中ではどうにも耐えられないレベルだ。

再生音量とノイズの音量が比例しないので、ノイズは音楽再生の回路で乗っているワケでは無さそうだ。純粋に電気的な問題だとすれば、ソフトウェアのアップデートなどで改善する可能性は少ない。

生き延びる道はあるのか?

というわけであるので、このプレイヤーを「ゆっくり音楽を聴く」という用途に使うのは無理気味だ。となれば、極端なカジュアルユースでしか生き延びる道はない。通勤電車の中であるとか、スタジオの音がうるさいトレーニングジムであるとか、背景音が大きいところでボリュームを大きくして聴くぐらいしかない。もっとも、ボリュームを大きくした場合に耳に届く音質は決して褒められたものではないので覚悟が必要だ。低音はペナペナで高音はとんがって耳につく。なにしろノイズのせいで音がザラザラしている。

nanoの存在を考えれば、超ポータブルプレイヤーとしての立場も怪しいところだ。あなたの服にポケットがあるか、首からnanoをぶら下げることに異論がなければ絶対にnanoを買うべきだ。2ギガのミニマムモデルが復活すれば、プライス的にもこのシャッフルに立場はなくなるだろう。

アップルの対応

このノイズの問題は大手メディアで書いているところはない。アップルの「Discussion Boards」(ユーザーが情報や問題を共有するための、アップルが提供する掲示板)で話題を振ってみると、同様の問題を感じている人が何人かいた。ブログなどでは話題にしている人を見かけることができる(コチラとかコチラとかコチラ)。2chでも話題が出ているらしい。

どちらにせよ、アップルが公に認めていない以上、問い合わせする窓口も存在しない。
そこで先日、銀座のAppleStore (購入店でもある)のiPod Barに行って症状を訴えてきた。担当してくれたスタッフさんは「ここでは(まわりが)うるさいので」と、付属タイプのヘッドフォンとShuffleを持って奥に行って確認。しばらくして帰ってきた結果は「正直、自分にはわかりませんでした」というものだった。
一応普段使っているカナル型ヘットフォンも持って行ったのだけれど、サードパーティ製をつなげてゴネルのも筋違い(保証外と言われればオシマイ)なので「ああ、じゃあ、そういう仕様なのですね」と言うことになった。スタッフさんは「店頭でしか聴いたことがないのでよく分からないが」と前置きしながらも、小さい分、パワーが足りない可能性はあり、高級なヘッドフォンでは能力が発揮できないかも、というような趣旨のことをと言ってくれた。まあ、それはそうだろう。しかしこのノイズはそういうレベルの問題ではないような気がする。

なお、この際、Dockが不調だった(接触が甘かった)ことを理由に初期不良扱いの交換をしている。全ての付属品を持って行ったので、その場で全損交換の扱いで全て取り替えて貰った。しかしノイズの症状は変わっていないので、少なくとも個体による症状ではない。ロットによって出ている可能性もあるが、これは判断のしようがない。
そんなわけで、せっかくのアップルストアも問題の解決には役立たなかった、というのが現実だ。

それでも売るのか?

もしこの問題がこのまま解決されないのであれば、この機械は、iPodシリーズの中でも希有な失敗作として記憶されるべきであるし、アップルは早急に販売を中止するか、問題を改善して販売済みの全商品を交換するべきだ。少なくとも問題を認識して公表すべきだろう。このままノイズが乗った製品を歳末商戦で売りまくれば、この問題はiPod、ひいてはAppleブランド全体への不信感に変わりかねない。

アップルの早急なる対応を期待したい。

自分は、とりあえず、アップルのサポート本体に電話してみることにする。

投稿者 ogre : 2006年12月 8日 00:47



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