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2012
10 04(木)

ベトナム・カンボジア旅行記 4日目(6)

この日の午後はもう一つの目玉、アンコールワットの見学だ。この遺跡は他と違って西を向いている。そのため午前中は逆光になるために、見学は午後が多いのだという逆にいえば、ゆっくり観光するならが午前がオススメよ、ということになる。それがウリのツアーもあるぐらいだ。

お濠を回る
満々と水を湛えた堀の淵を歩いて正面に出る。柵などという無粋なものはどこにしない。むしろ近所の子ども達が泳いで遊んでいる始末だ。かつてはワニが放たれていたそうだが、いまはいない。

アンコールワット参道 年号入りの欄干
寺の正面、石造りの参道が門に続く。例によって観光客でいっぱいだ。(自分たちもその一部だ。)堀を渡る橋や欄干の一部はフランス植民地時代に一部修復されており、年号の入った石もある。むろん、いまでも絶賛修復中だ。

門は入り口が三カ所。混み合う中央の門を避けて北側の通用門のような小さめの入り口から入る。後世になって持ち込まれた仏像が、ドドンとお出迎え。
アンコールワットの仏像

その脇ではテバターが笑う。珍しい、歯を見せて笑う女神だ。
歯を見せて笑うテバター

アンコールワット正面
門をくぐると……いよいよ見えてきた。アンコール・ワット。残念なことに正面部分が工事中。あとから口の悪い人から「調べてから行けば良かったのに」と言われたが、調べたところでカンボジアまで来てアンコールワットに行かない、という手はないし、調べたところで工事が止むわけではないのである。さりとて工事が終わるのはいつなのかもよく分からない。(現地のガイドさんだって知らないのだ。)これもまあ、旅行というものだ
みどりのシートが風情もなにも置き去りなのは、閉口なのではあるが……

ワンコールワットと白い馬
経堂の脇に白馬が繋がれている。乗ってるところを写真に撮れる、という商売。

絵はがき…?
よく絵葉書などにある風景。シートがまことに台無し。こりゃあもう、また来るしか無いな!
ここでも混みあう正面を外し、池を迂回して向かって左側の入り口から入る。(指示は見えなかったが、順路のようなものがあるのかもしれない。)一番外側、第一回廊だ。

乳海攪拌
大きな寺院はどこも同じ、つまりは決まりごとであったり様式美であったりするのだろう。この回廊も乳海攪拌からラーヤマーナの神話、そして民族の歴史がレリーフを飾る。この旅行中、乳海攪拌乳海攪拌と、ガイドさんから何度聞いたことか……

DSCF2807
一部には鮮やかな顔料が残るが、もしかしたら後世に塗り直されたそれなのかもしれない。

階段を登って第二回廊へ。大きなプール状の構造の周囲を回廊がめぐる。このフロアになると、そこかしこに未完成のレリーフが目に付くようになってくる。完成までに間に合わなかったレリーフは、そのまま仕上げられるでもなくそのまま放置されたのだという。戦争や政変、天変地異などで中断せざるを得ないことも多々あったのではないかと想像する。

ペアの女神
仲良く肩を組むペアのテバター。ピンク・レディーかはたまたWinkか。(例えが古いね、どうも。)

階段工事中
第三回廊の正面は工事中。もっとも、第三回廊への昇り口は裏側にある。

各尖塔の一〜二方向に階段が設けられたシンッメトリックな構造。しかし階段といっても登るにはあまりにつらい巨石だ。むしろピラミッドのごとき構造の一部に過ぎないんではないか、とも感じられる。でもまあ、入り口もあるし、階段だよなぁ。
最後の階段
これが最後の階段。高所恐怖症の人にはたまらない急な階段だ(笑)。人数制限があるそうで、順次登っていく。そのせいか、この上にはガイドさんは同行しない。

主塔
やっと着いた…主塔を見上げて感慨に浸るのも束の間、
正門と表参道を望む
正面の門を眺めていたら、向こうの方にもくもくと、なにやらスコールの気配がする。
ガイドさんに言われた制限時間まではもうちょっとあったのだけれど、ぐるりと一周、記念撮影が終わったらとっとと降りたのであった。

下り階段
降りもエンヤコラ。

MAX(嘘)
MAX

つづく

投稿者 ogre : 2012年10月 4日 | コメント (0)

2012
10 06(土)

ベトナム・カンボジア旅行記 4日目(7)

かわいいカエル
雨が降ったのでかわいいカエルが出た。
アンコール・ワットでは、第2層あたりまで降りたところでスコールが降り出して足止め。それはそれでいい経験。

プノンバケンからアンコールワットを望む アンコールの夕日
この日は最後にもうひとつ、プノン・バケン山で夕日を見ることになっていた。が、スコールも降るようなあいにくの天気だ。肝心の空がうっすら朱く色づく、という程度にしか見えない。ただまあ小高い丘の上から眺めるアンコール周辺の景色はそれだけでも見応えがある。雨期に夕日を見られることはほとんど無いそうなので、だったらいっそのこと昼間に、壮大な景色を楽しみに来ても良かったかもしれない。
危険な階段
丘を登ったところでさらにこれもんの階段だから、それなりに大変だけど。
暗くならないうちにと山を下りるが、車に乗ってちょっと走っているうちに真っ暗になってしまう。この「とっぷり」感も普段とは違って面白い感じだ。目が慣れない、というか…。

オールドマーケットの夜景 カンボジア鍋
この日の夕飯はオールド・マーケットにあるスープ・ドラゴンという有名店でカンボジア鍋(カンボジアではチュナン・ダイと呼ばれる)をいただいた。お店は始終換算としている雰囲気で、「ああ、こっちとっては季節外れなんだなぁ」と思わせる。日本人は一カ所に固めるルールなのか、そんなに空いているにもかかわらずすぐ隣の席で「女の一人旅」が食事をしていたのが気になった…。
このお店では、基本的には店員さんが鍋を仕切ってくれる。ただし今回は途中から来てくれなくなったので自分たちでやっていた(笑)。具材は牛肉と麺、豚の天ぷらみたいなもの、野菜香草等々。アラカルトで頼む場合は鶏肉や豚肉、そして牛の脳味噌などというチャレンジャブルなものまであるらしい。
そして炎天下を歩き回った身には非常に重要なことだが、生ビールが1ドル以下で飲める。水より安いじゃん!

夜のナイトマーケット(重複) 小一時間かけて鍋をつついているうちに、空はさらに暗くなり、それに反比例するように街は人が増えてきた。今日も一日よく歩いたし、登ったし、明日も遠出だから早く寝よう…と素直に思える、そんな夜なのだった。

つづく

投稿者 ogre : 2012年10月 6日 | コメント (0)

2012
10 07(日)

ベトナム・カンボジア旅行記 5日目(1)

今日の朝食
朝から香草たっぷりのフォーをいただく喜びといったら、ないね……まさに東南アジア旅行の醍醐味だよ(偏っている事は認める)。
もちろんエッグスタンドでオムレツを頼み、「ハム、チーズ、オニオン、どれをいれるか?」と聞かれて高らかに「Everything!」と答えてあきれられるのもまた一興。

ロリュオスまで
今日は朝から少々遠出だ。ときおり小雨の降る中、40キロ少々離れたバンテアイ・スレイ遺跡を見学に行く。日差しが照りつけないのは有り難いが、なんというか、可視領域外のエネルギィにジワジワと灼かれている感が凄いので日焼け止めは欠かせない。
バンテアイ・スレイの入口には立派なビジター・センターが設置されている。つい最近までは地雷があって近づくのも大変だったそうだ。

そんなバンテアイ・スレイの見所は精妙なレリーフ。昨日今日折ったばかりのようなエッジのたったレリーフはそこかしこに残っている。アンコール遺跡とはひと味違う赤土のレンガに施されたそれらを間近に見ることができる。
バンテイアイ・スレイのレリーフ バンテイアイ・スレイのレリーフ ファサードのレリーフ

東洋のモナリザ 東洋のモナリザ
そしてバンテアイ・スレイのレリーフ群の頂点に立つのが「東洋のモナリザ」と呼ばれるテバター像だ。残念ながら現在は周囲が立入禁止になっていて、その微笑みを間近で見ることはできない。双眼鏡かファインダー(あるいは液晶)越しに望むその微笑みは、とはいえモナ・リザのそれのように謎めいているわけでは無い。それは明らかに「楽」を伝えているように見えるのだが、いかがだろうか。

バンテアイ・スレイから中心街に戻る前にロリュオス遺跡群に立ち寄る。ロリュオスには「バコン」「プリア・コー」「ロレイ」の3つの遺跡がある。アンコール・ワット周辺の遺跡群を観た後では少々小ぶりに見えるが、時代的にはアンコールより前、都がアンコールに移る前に都だった場所なのだそうだ。

ロレイ ロレイのリンガ
一番小さな遺跡「ロレイ」などは、もう崩れ落ちる寸前なのを何とか食い留めている感じだ。草が生い茂り、花が咲くのはまったくラピュタを彷彿とさせる。かつてはため池の中央に浮かび、リンガに注がれた聖水は四方のため池に流れていったという。いまはそのため池は、跡形も無い。

今日のランチ 市街に戻って中華料理のお昼。正直これはよくなかったかなー……ちょっと油が胃にもたれてしまった感があった。

ホテルへ戻って一休みしたら、さて、午後は近場でいろいろお楽しみ……

つづく

投稿者 ogre : 2012年10月 7日 | コメント (0)

2012
10 09(火)

ベトナム・カンボジア旅行記 5日目(2)

旅も佳境の5日目の午後。さすがに暑い中あちこち歩き詰めで疲れもピーク。そこで少し長めにホテルで休憩を取って、プールでまったりと過ごしたりしていた。(天気は悪いけどな…)
夜はアプサラダンスを見ながら食事、ということになっていたのでその前にお土産物屋と、マッサージを受けに行くことにした。

不気味なマッサージ屋…
ガイドさんにつれられて、結構大きめの「ヘルシー・マッサージ」というお店に行ったのだけれど、ねーさんたちはメイク濃いし、建物の中は薄暗くて陰気だし、これで一応普通のマッサージ屋だというのだよな。あとでホテル併設のマッサージ屋さんもお願いしたのだけれど、(そりゃま値段も違うのだけれど)満足感も段違いで、うーん、まあ、いろいろケチるものでは無いよなぁ、という感じに。

お土産は日本人ツアー客は誰もが連れてこられるという「アンコール・クッキー」は、日本人の経営だという。アンコール・ワット型のクッキーとか、つまるところは温泉饅頭であるのか……。

そして夜はアプサラダンスのディナーショーだ。アマゾン・アンコールというディナーショー専用のレストランだ。ずいぶん広い客席に人の姿はまばらで、あれずいぶん大丈夫かな、と思っていたら、ショーが始まる寸前になって大量の中国・韓国の団体客が入ってきて後方のテーブル席を埋めてしまった。ガイドさんもその辺はわきまえたもので、早めに入ってくれたからブッフェ・スタイルの料理を取る時間は十分にあった。だいたいショーが始まるとなかなか席を立てないのだから、デザートまであわせて山盛りとっておくのが吉というものか。(少々下品かもしれないが……。)
山盛り
問題は、アルコール以外のソフトドリンクはブッフェまで取りに行かないと行けないことだ!

そうこうしているうちに演奏が始まる。まずは楽器の演奏、それから踊り、と続いていく。
アプサラダンス 漁村の踊り
踊りの方は、4〜5部構成ぐらいになっていて、いかにもな衣装をまとった踊りや村の若い衆のストーリー仕立ての踊りなど。キレキレの踊りというのでもないし、文化・宗教的な色がガンガンでているわけではない。踊り手がなんか若そうで、言っちゃ悪いが学園祭の出し物のようなところも多少はある(笑)。
その上、すぐ前に座ったおっちゃんの座高が高くてアタマが邪魔で、あげくにカメラを大きく上げてずーっと構えているもんだから邪魔でしょうが無い。殆どの写真におっちゃんのドタマがシルエットで映り込んでいるのだ。気持はわかるが、他山の石としたい。
鶏のポーズ
特徴的な鶏のようなポーズ。

ダンス終了後、希望者は舞台上で役者さんたちと記念撮影ができる。前の方に陣取った少人数グループの日本人が写真を撮っている間に、後ろの方の大集団が観光バスで一気にお帰りになるという寸法だ。なかなかよくできたシステム。

アマゾンアンコール
そんなこんなで日も暮れて、明日はいよいよカンボジア最終日。

つづく

投稿者 ogre : 2012年10月 9日 | コメント (0)

2012
10 15(月)

ベトナム・カンボジア旅行記6日目 (1)

カンボジアでの猫
最終日。朝食を摂るテラス・レストランには毎朝おこぼれに預かろうと猫たちがやってくる。日本の猫に比べると、海外の猫は顔立ちがりりしいよね、といつも思う。
この日もあいにくの雨模様。しとしとと雨が降る雨期のカンボジアだ。昼の中華がよろしくなかったのか、昨晩から胃の調子があまりよろしくない。ヌードルを香草と一緒にするりと流し込み、チェックアウトした荷物を車に積んで、さあ、最終日のはじまりだ。

広大な田んぼ 小雨の降る中を車でひた走る。今日の目的地は50キロ以上離れたベンメリア遺跡だ。幹線道路の周辺は見渡す限りの田んぼが広がり、ときおり集落があらわれる。
ドナドナされる子豚(ただしバイク) 東南アジア名物「なんだかとんでもないものをバイクに乗せて運ぶ人」、今回は「生きた子豚」。
一時間少々走ると、ベンメリアに到着する。

地雷撤去済み ベンメリアのナーガ
ベンメリア遺跡は、未だに大部分がジャングルに埋もれたまま、修復もなされていない。周辺の地雷撤去作業が終わったのは2007年で、その前近づくのにも苦労したのだという。
ベンメリア遺跡はゲストハウスのようなものはないが、参道の入口で巨体を広げるナーガの姿が第一のシンボルだ。2メートル以上はある立派な姿が、奇跡的にも殆ど無傷で残っている。その牙を見せつけ、邪なものを威嚇しているかのようだ。
ガイドさんは「ラピュタのモデルです」と盛んに繰り返していたけれど、僕らに言わせりゃどの遺跡もラピュタのモデルに相当しうる。まあ数百年を経た自然の中の遺跡、なんてそうそうあるわけでは無いのだが。
もっとも「ラピュタ」自体、遺跡にあるレリーフのモチーフとして使われているラーマヤーナからの引用がある、いうのもある。ムスカが「ラーマヤーナ」を引用し、シータの名前はラーマーヤナのヒロインのお姫様だ。

東門 >広く長い石畳の参道を進んでいくと、遠くに崩れた門が見えてくる。ここがラピュタなら既に「バルス!」の後なので、残念ながら世界征服をすることはできない。(あ、ラピュタごっこした写真を撮るんだったな……。)
いまは多少なりとも切り開かれているが、かつてジャングルに沈んでいたこの遺跡を最初に目の当たりにした探検隊は、それこそラピュタを仰ぎ見たような気分だったかもしれない。
ちなみにここもかように有名な遺跡であるのでそぞろ歩く団体客と遭遇するのは必至だ。しかし、特にここのような狭く静謐とした遺跡の中で円カウントしたくない類のモンスターではある。上手なガイドはポイントポイントで彼らを避けてコースを進む。まさに匠の技だ。

崩れ落ちた回廊 遺跡の中は、あちらが崩れ、こちらに樹が生え、まさに「遺跡」。
通路と遺跡
。石造りの回廊がそのまま崩れ落ち、苔むし、樹が生える。観光ルートには足場が組まれて通路ができているが、ルートを外れることにも比較的寛容なようだ。(もちろん遺跡を破壊するような行為は重罪だ。)崩れかけた回廊をくぐったり、がれきの山を登ることもできる(らしい)。とはいえ、雨で濡れた石を相手にチャレンジをする気にもならないし、雨期は蝮がたくさんでるのだそうだ。三十路も過ぎるとその程度で挫ける程度の冒険心しか、ないね(笑)。

苔むした遺跡
いつか誰にも看取られること無く見ずれた石たち。今ではなにもかもを緑色が覆う。
崩れ落ちたレリーフ

ガイドブックの復元図と比べてもどこがなにやらよくわからない。なにしろ建物が痕跡程度しか残っていないのだからな……。崩れかけた回廊や経堂に入ってみればもうちょっと感覚も分かったのかもしれないが、前述のような理由でパスだ。主に毒蛇が。

おみせ
門前町にはこんな感じのお土産物屋兼食堂のようなお店が軒を連ねる。その軒先を借りてお弁当のお昼ごはんだ。飲み物をお店で買って、お金を落とすしくみ。
お昼のお弁当

お店のテレビ(またすげぇテレビだよな、改めて見ると)ではMr.ビーンをやってた。テレビで放映しているらしい。字幕もなにも出てないのだが、さすがMr.ビーン、子どもたちも笑いながら見ていた。(どうでもいいが、オープンキャンパスの回。)
カンボジアでMr.ビーン Mr.ビーンをみる子どもたち

つづく

投稿者 ogre : 2012年10月15日 | コメント (0)